身近な森の小さなドラマー:コゲラの魅力と撮影テクニック

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日本の里山や公園で、コンコンと軽快な音が聞こえてきたら、それはきっと「コゲラ」が木をつついている音です。スズメよりも一回り小さな、日本最小のキツツキであるコゲラは、私たちの暮らしのすぐそばにいるにもかかわらず、その小ささゆえに見過ごされがちかもしれません。しかし、彼らの生態や行動を知れば知るほど、その愛らしい姿と健気さに魅了されることでしょう。今回は、コゲラの特徴から生態、そしてその愛らしい姿を写真に収めるためのテクニックまで、余すことなくご紹介します。

コゲラってどんな鳥? 特徴と識別ポイント

コゲラ 2017/06/10撮影 APS-Cカメラ 210mm望遠レンズ使用 フルサイズ換算では315mmの画角となります

コゲラは、キツツキ科コゲラ属に分類される鳥で、体長はわずか15cmほど。スズメよりもやや小さいくらいのサイズ感です。オスとメスで見た目の違いがほとんどありませんが、よく見るとオスの後頭部には小さな赤い斑点(赤色部)があります。ただし、この赤色部は非常に小さく、普段は羽毛に隠れていることが多いため、識別は難しい場合が多いです。

主な特徴は以下の通りです。

  • 体の色: 背面は灰褐色の地に白と黒の横斑が入り、腹面は白っぽい灰色です。全体的に地味な色合いですが、保護色として周囲の木に溶け込みやすくなっています。
  • 嘴(くちばし): キツツキ特有の頑丈でまっすぐな嘴を持っています。この嘴を使って木をつつき、昆虫を探したり、巣穴を掘ったりします。
  • 尾羽(おばね): 短く硬い尾羽は、木に垂直に止まる際に体を支えるための「つっかい棒」の役割を果たします。
  • 足: 鋭い爪を持つ二本の指が前を向き、二本の指が後ろを向く「対趾足(たいしそく)」と呼ばれる特徴的な足をしており、木の幹にしっかりと掴まることができます。

コゲラの最も特徴的な行動といえば、やはり木をつつく「ドラミング」です。彼らは木をつつきながら、その振動で中に潜む昆虫を探し当てます。その音は小さく、「トトトト……」という軽快なリズムで、ドラミングの音でコゲラの存在に気づくことも多いでしょう。

身近な森の働き者:コゲラの生態

コゲラは日本全国に分布しており、平地から低山帯の落葉広葉樹林や針葉樹林、雑木林、さらには公園や庭木など、比較的開けた場所でも見られます。都市部の公園でもよく見かけることができる、私たちにとって身近な存在です。

番(つがい)のコゲラ 2016/01/03撮影 APS-Cカメラ 210mm望遠カメラ使用 フルサイズ換算では315mmの画角となります

コゲラの生態を詳しく見ていきましょう。

  • 食性: 主に昆虫(甲虫の幼虫、クモ、アリなど)を食べますが、冬場は木の実(カエデの種子など)も食べます。木をつつきながら昆虫を探すだけでなく、木の幹や枝の隙間にいる昆虫を捕まえたり、樹皮の下に潜む虫を探したりもします。
  • 繁殖: 繁殖期は春から夏にかけてで、木の幹に自分たちで巣穴を掘ります。この巣穴掘りは、オスとメスが協力して行います。一度に4~6個の卵を産み、抱卵期間は約12日、巣立ちまでの期間は約20日程度です。繁殖が終わると、巣穴は他の鳥やリスなどが利用することもあります。
  • 行動: 基本的には単独で行動することが多いですが、冬場にはカラ類(シジュウカラ、ヤマガラ、エナガなど)と一緒に混群を形成することがよくあります。これは、お互いに見張り役を担い、捕食者からの危険を回避したり、食物を見つけやすくするための知恵だと考えられています。
  • 越冬: 渡りを行わず、一年を通して同じ場所に留まる「留鳥」です。そのため、冬でも私たちの身近な場所でその姿を見ることができます。

コゲラは、枯れた木や病気の木をつつくことで、その木に潜む害虫を駆除する役割も担っています。彼らは森の生態系において、重要な働きをしている「森の医者」とも言える存在です。

コゲラをカメラに収める! 撮影テクニックと準備

小さくて動きの速いコゲラの撮影は、初心者には少し難しいと感じるかもしれません。しかし、ポイントを押さえれば、その愛らしい姿を写真に収めることができます。

1. 撮影機材の準備

  • 望遠レンズ: コゲラは小さく、警戒心も強いため、近づくことが難しい場合があります。最低でも300mm以上の望遠レンズ、できれば400mm以上の超望遠レンズがあると良いでしょう。
  • 明るいレンズ: 曇りの日や日陰での撮影を考えると、F値の小さい明るいレンズ(F4以下)が有利です。
  • 三脚・一脚: 手ブレを防ぎ、安定した撮影を行うために、三脚や一脚があると非常に役立ちます。特に長時間同じ場所で待つ場合は必須です。
  • 予備バッテリー・SDカード: シャッターチャンスを逃さないためにも、予備は必ず用意しておきましょう。
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2. 撮影設定のコツ

  • シャッタースピード: 動きの速い鳥なので、ブレを防ぐためにシャッタースピードは速めに設定しましょう。最低でも1/1000秒以上、できれば1/2000秒以上が望ましいです。
  • ISO感度: シャッタースピードを稼ぐために、ISO感度を上げる必要が出てくる場合があります。ノイズとのバランスを考慮しつつ、ISOオートを活用するのも良いでしょう。最近のカメラは高感度にも強いので、積極的に活用しましょう。
  • F値(絞り): 背景をぼかしてコゲラを際立たせるには、F値を小さく(開放気味に)設定するのが効果的です。ただし、被写界深度が浅くなるため、ピント合わせはより慎重に行う必要があります。
  • AFモード: 動き続ける鳥を追うには、コンティニュアスAF(AF-C)や追尾AFが適しています。連写モードと組み合わせることで、シャッターチャンスを逃しにくくなります。

3. 撮影のポイント

  • 場所選び: コゲラは、公園の桜並木やケヤキ、カエデなどの木によく現れます。枯れ木や枯れ枝が多い場所は、昆虫が豊富でコゲラが訪れる可能性が高いです。また、冬場は混群に紛れていることが多いので、カラ類の群れを見つけたら注意して探してみましょう。
  • 早朝が狙い目: 早朝は鳥の活動が活発で、比較的警戒心も緩い傾向があります。また、光の条件も柔らかく、美しい写真を撮りやすい時間帯です。
  • じっと待つ忍耐: コゲラは小さく、動きも素早いので、無理に追いかけるよりも、彼らが現れそうな場所でじっと待つのが成功の鍵です。一度に何枚も撮れるように、連写機能は常にオンにしておきましょう。
  • 背景を意識する: せっかくコゲラを捉えても、背景がごちゃごちゃしていると主役が引き立ちません。できるだけシンプルで、鳥が映える背景を選びましょう。木漏れ日や新緑、紅葉などを背景にすると、季節感のある美しい写真になります。
  • 低いアングルから狙う: 鳥と同じ目線、あるいはそれよりも低いアングルから撮影すると、背景がすっきりとし、鳥の表情を捉えやすくなります。
  • 音に注意: コゲラは木をつつく音が特徴です。音が聞こえたら、そっと近づいてみましょう。彼らは音に敏感なので、大きな物音を立てないように注意が必要です。

まとめ

コゲラは、小さくてもたくましく、私たちの身近な場所で懸命に生きる愛らしい鳥です。その軽快なドラミングの音は、森や公園を歩く私たちの耳を楽しませてくれます。彼らの存在に気づき、その姿を写真に収めることは、自然への理解を深めるきっかけにもなるでしょう。

今回ご紹介した特徴や生態、撮影テクニックを参考に、ぜひお近くの森や公園でコゲラを探してみてください。そして、彼らの愛らしい姿をカメラに収め、その魅力を多くの人と共有してください。きっと、あなたの日常に新たな発見と喜びをもたらしてくれるはずです。

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