日本の夏といえば、セミの鳴き声は切っても切れない存在ですよね。特に滋賀県は豊かな自然に恵まれ、様々な種類のセミたちが夏の訪れを告げてくれます。この記事では、滋賀県でよく観察される代表的なセミ、「ニイニイゼミ」「アブラゼミ」「クマゼミ」「ヒグラシ」「ツクツクボウシ」に、さらに「ミンミンゼミ」を加えた6種類に焦点を当て、それぞれの生態、特徴、そして彼らの美しい鳴き声が聞ける時期について、詳しくご紹介します。
1. 滋賀のセミの代表格:ニイニイゼミ

生態と特徴
ニイニイゼミ ( Platypleura kaempferi ) は、日本全国に広く分布し、滋賀県でも平地から山地まで、様々な場所で見られる小型のセミです。体長はオスで25~32mm、メスで22~29mmほどで、全体的に黒褐色をしており、背中には灰白色の斑紋が点在しています。特に、翅の基部が透明でなく、体と同じような黒褐色をしているのが大きな特徴です。このため、木の幹に止まっていると、周囲の樹皮に溶け込むようにして見つけにくいことがあります。
幼虫は主に広葉樹の根から樹液を吸って成長します。ニイニイゼミの幼虫期間は比較的短く、およそ2~3年とされています。土中で過ごした幼虫が地上に出てくる時期は、他の大型のセミと比べて早く、梅雨明け頃から羽化が始まります。羽化後の成虫の寿命は短く、わずか1週間から2週間程度です。
鳴き声と聞ける時期
ニイニイゼミの鳴き声は、「チー、ジー」という単調で連続的な音で、まるで油を熱しているような、あるいは機械が動いているような音にも聞こえます。早朝から夕方まで一日中鳴くことが多く、特に午前中に活発に鳴きます。
滋賀県では、例年6月下旬から7月上旬頃から鳴き声が聞かれ始め、8月上旬頃までがピークとなります。地域によっては9月上旬まで鳴き声が聞かれることもあります。他のセミに先駆けて鳴き始めるため、ニイニイゼミの鳴き声を聞くと、「ああ、夏が来たな」と感じる人も多いのではないでしょうか。
2. 都市部でもおなじみ:アブラゼミ

生態と特徴
アブラゼミ ( Graptopsaltria nigrofuscata ) は、ニイニイゼミと並んで日本で最も一般的なセミの一つであり、滋賀県でも都市部から郊外まで、至るところでその姿を見ることができます。体長はオスで40~50mm、メスで35~45mmほどで、全体的に黒っぽい褐色をしており、翅は不透明な褐色で、この点が透明な翅を持つクマゼミなどと大きく異なります。まるで油紙のような質感が名前の由来とも言われています。
幼虫は主に広葉樹の根から樹液を吸って成長し、幼虫期間は3~5年とされています。都市部の街路樹や公園の木々にも多く生息しており、人工的な環境にも比較的順応しやすいセミです。成虫の寿命は1週間から2週間程度と短命です。
鳴き声と聞ける時期
アブラゼミの鳴き声は、「ジージー、ジリジリ」という油を揚げるような連続音で、非常に大きく、一度に多くの個体が鳴くと、あたり一面にその声が響き渡ります。真昼の最も暑い時間帯に活発に鳴くことが多く、夏の暑さを一層強く感じさせる鳴き声です。
滋賀県では、例年7月中旬頃から鳴き声が聞かれ始め、8月中旬から下旬がピークとなります。9月に入っても残暑が厳しい日には鳴き声を聞くことができますが、徐々にその数は減っていきます。夏の盛りの風物詩として、多くの人に親しまれています。
3. 西日本を代表する大型セミ:クマゼミ

生態と特徴
クマゼミ ( Cryptotympana facialis ) は、日本西部に多く分布する大型のセミで、近年では地球温暖化の影響もあり、分布域を東に広げつつあります。滋賀県でも、特に琵琶湖周辺の平野部や市街地でよく見られます。体長はオスで55~65mm、メスで45~55mmと、アブラゼミよりも一回り大きく、セミの中でも最大級の大きさを誇ります。全体的に黒色をしており、特に腹部が太く、翅は透明で目立つのが特徴です。その大きさから「クマ」の名がついています。
幼虫は主に広葉樹の根から樹液を吸って成長します。特に、クスノキやケヤキ、サクラなどの大木を好む傾向があります。幼虫期間は3~5年とされています。成虫は活発に飛び回り、樹液を吸って生活します。クマゼミもまた、成虫の寿命は1週間から2週間程度と短いのが特徴です。
鳴き声と聞ける時期
クマゼミの鳴き声は、「シャアシャアシャアシャア!」と非常に大きく、金属的で高音の連続音です。まるでシャワーを浴びているかのような音にも例えられます。他のセミの鳴き声を圧倒するほどの音量で、一度に大量のクマゼミが鳴くと、会話が困難になるほどの騒音になることもあります。主に午前中から真昼にかけて活発に鳴き、その声は非常に遠くまで響き渡ります。
滋賀県では、例年7月下旬頃から鳴き声が聞かれ始め、8月上旬から中旬がピークとなります。特に、日中の暑い時間帯にその鳴き声が最も盛んになります。都市部のヒートアイランド現象も彼らの生息域拡大に影響していると考えられており、滋賀県でも近年その存在感を増しています。
4. 夕暮れの叙情詩:ヒグラシ

生態と特徴
ヒグラシ ( Tanna japonensis ) は、その美しい鳴き声で多くの人々に愛されるセミです。滋賀県では、主に山間部や里山の林に生息しており、平地よりもやや標高の高い場所でよく見られます。体長はオスで30~40mm、メスで25~35mmほどで、アブラゼミやクマゼミよりも小ぶりです。体色は美しい緑色や褐色をしており、腹部には赤褐色の模様が入ることもあります。全体的に細身で繊細な印象を与えます。
幼虫は主に針葉樹の根から樹液を吸うことが多いですが、広葉樹の根も利用します。幼虫期間は3~5年とされています。ヒグラシは他のセミに比べて警戒心が強く、近づくとすぐに飛び去ってしまうことがあります。成虫の寿命は他のセミと同様、1週間から2週間程度です。
鳴き声と聞ける時期
ヒグラシの鳴き声は、「カナカナカナ…」という、どこか寂しげで郷愁を誘うような響きが特徴です。特に、夕暮れ時や明け方に活発に鳴くことで知られ、「夏の夕暮れ」や「ノスタルジー」といったイメージと強く結びついています。他のセミの騒がしい鳴き声とは異なり、落ち着いた雰囲気の中で聞くことができるため、その美しさが一層際立ちます。曇りの日や雨上がりなど、気温が比較的低い時間帯にも鳴くことがあります。
滋賀県では、例年7月中旬頃から鳴き声が聞かれ始め、8月中旬から下旬がピークとなります。山間部のキャンプ場や渓流沿いなどでは、涼やかなヒグラシの声を聞きながら過ごす夏の夜は格別です。9月に入ると、徐々にその声も聞かれなくなります。
5. 夏の終わりを告げる声:ツクツクボウシ

生態と特徴
ツクツクボウシ ( Meimuna opalifera ) は、夏の終わりから秋にかけて鳴き始めるセミで、滋賀県でも広く分布しています。体長はオスで30~40mm、メスで25~35mmほどで、ヒグラシと同じく比較的小型のセミです。体色は黒褐色から黒色で、背中には黄緑色の斑紋が点在しています。翅は透明で、特に後翅の付け根がオレンジ色を帯びているのが特徴です。
幼虫は主に広葉樹の根から樹液を吸って成長します。幼虫期間は1~3年と比較的短いとされています。羽化の時期が他のセミに比べて遅いため、夏の終わりの象徴として認識されています。成虫の寿命は他のセミと同様、1週間から2週間程度です。
鳴き声と聞ける時期
ツクツクボウシの鳴き声は、「ツクツクボーシ、ツクツクボーシ、ジーーー」という、リズミカルで独特な節回しが特徴です。徐々にテンポが速くなり、最後に「ジーーー」と長く引き伸ばすように鳴き終わります。この独特な鳴き声から、その名前が付けられました。早朝から夕方まで一日中鳴きますが、特に午後から夕方にかけて活発に鳴くことが多いです。
滋賀県では、例年8月上旬頃から鳴き声が聞かれ始め、8月下旬から9月中旬がピークとなります。ツクツクボウシの鳴き声を聞くと、「ああ、夏も終わりだな」と感じる人も多いのではないでしょうか。残暑が厳しい年には10月上旬まで鳴き声を聞くこともありますが、その数はかなり少なくなります。夏の終わりを告げ、次の季節への移ろいを知らせる、風情あるセミです。
6. 透明な翅の美しい歌姫:ミンミンゼミ
生態と特徴
ミンミンゼミ ( Oncotympana maculaticollis ) は、透明で美しい翅を持つセミで、その涼しげな鳴き声から、夏の風物詩として親しまれています。滋賀県では、主に山間部や里山の比較的標高の高い場所、あるいは都市近郊の緑豊かな公園などで見られます。体長はオスで50~60mm、メスで40~50mmほどで、アブラゼミやクマゼミと同程度の大きさです。体色は黒色で、背中には鮮やかな緑色の斑紋や筋模様が入るのが特徴です。この緑色の模様と透明な翅が、他のセミとの大きな識別点となります。
幼虫は主に広葉樹の根から樹液を吸って成長し、幼虫期間は3~5年とされています。成虫は樹液を吸い、繁殖活動を行います。他のセミと同様、成虫の寿命は1週間から2週間程度と短いですが、その美しい姿と鳴き声は夏の記憶に深く刻まれます。
鳴き声と聞ける時期
ミンミンゼミの鳴き声は、「ミーン、ミンミンミン、ミーーー」という、清涼感のある響きが特徴です。アブラゼミの「ジージー」やクマゼミの「シャアシャア」とは異なり、比較的規則的で澄んだ音色に聞こえます。主に午前中から午後にかけて活発に鳴きますが、真昼の最も暑い時間帯よりも、朝方や夕方にやや涼しくなった頃に盛んに鳴く傾向があります。
滋賀県では、例年7月中旬頃から鳴き声が聞かれ始め、8月上旬から中旬がピークとなります。特に、涼しい高原や山間部でのハイキング中にその鳴き声を聞くと、都会の喧騒を忘れさせてくれるような、心地よい夏の雰囲気を味わえるでしょう。9月上旬頃までは聞かれますが、その後は徐々に少なくなります。
まとめ:滋賀の夏の音風景
滋賀県には、ニイニイゼミ、アブラゼミ、クマゼミ、ヒグラシ、ツクツクボウシ、そしてミンミンゼミと、実に多様なセミが生息しており、それぞれが異なる時期に、異なる鳴き声で夏の音風景を彩っています。
- ニイニイゼミ: 6月下旬~8月上旬。「チー、ジー」と夏の訪れを告げる先駆け。
- アブラゼミ: 7月中旬~8月下旬。「ジージー、ジリジリ」と真夏の暑さを象徴。
- クマゼミ: 7月下旬~8月中旬。「シャアシャアシャアシャア!」と圧倒的な音量で真昼を支配。
- ヒグラシ: 7月中旬~8月下旬。「カナカナカナ…」と夕暮れの涼と郷愁を誘う。
- ツクツクボウシ: 8月上旬~9月中旬。「ツクツクボーシ、ジーーー」と夏の終わりを告げる。
- ミンミンゼミ: 7月中旬~8月中旬。「ミーン、ミンミンミン、ミーーー」と涼しげな歌声で夏を彩る。
このように、それぞれのセミが独自の「担当期間」と「鳴き方」を持っており、移りゆく季節を感じさせてくれます。今年の夏、滋賀県を訪れる際は、ぜひ耳を澄ませてみてください。きっと、多様なセミたちの歌声が、あなたの夏の思い出をより一層豊かなものにしてくれるはずです。彼らの短い一生が、私たちの夏を彩る大切な存在であることを改めて感じさせてくれますね。
本記事で掲載した画像は55-210mmズームレンズで撮影していますが、僕のお勧めレンズはシグマ(Sigma) 16-300mm F3.5-6.7ですね。広角から望遠まで撮影できる万能レンズです。風景から野鳥、昆虫までなんでも撮れます。



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